ある晴れた昼下がり少年は苦悩に揺れ動く……

たった一人のあの瞳をもつ少女を思って……

「合いに・・・行ってみるか」

少年の名は鳴海歩、かつて人知れずこの世界を救った者そんな彼が悩み苦しんで決断した……

二度目の思いと気持ちをかかえて。

「竹内いるか?」

「理緒ね、おーい理緒! 旦那がお呼び出しよ!」

「・・誰が旦那だ」

いきなりとんでもない事を言い出す女子に突っ込みをいれて竹内を待つ。

「どうしたんですか? 弟さん」

「ちょっと話があるんだ、いいか?」

かなり神経がすり減りながら返事を待つと

「いいですよ」

とあっさり返ってきた。

「じゃあ、放課後に屋上で……」

その場を離れると後ろでなにやらひやかしのような声が聞こえてきた…すまん!

心の中であやまる。

何かに集中している時は時間の流れが早いものであっとゆうまに放課後だ、そこで待っていると竹内がやってきた

「弟さん、お話ってなんですか?」

やっやばい、緊張でうまくはなせそうにない。

「さっ最近どうなんだ色々と」

いきなり失敗した。

「別に普通ですよ?」

「そっそうか、それは良かった」

「ひょっとして気にしてくれてたんですか?」

「まあなんだ、色々な」

やばい疑っている早く本題に入らないと・・

「呼び出した本当の理由なんだが……」

「わかった! ご飯作りに来てくれるんですね?」

聞いた瞬間『ガクッ!』ときた。

「いや、まあ、ああそうだそれだ」

「は? 『それだ』?」

「いや、なんでもない、こっちの事だそれより何が食いたい?」

「そうですね〜鳥肉の料理がいいです」

「鳥か、だったらそうだな焼き物とサラダそれに後は思いつきにするか」

「なんでもいいですよ、弟さんの料理はおいしいですから」

「それじゃあ今から買い物にでも行くか」

「はい!」

それからどうやって彼女の家にたどりついたのか全く覚えて無い、

緊張しっぱなしでそれどころじゃなかった

「さて、料理が出来るまで少し待っててくれ」

「私も手伝いますよ」

「じゃあ、一緒に作るか」

「はい♪」

これが失敗だった…竹内は壊滅的に家事全般の技術が無い、ゼロどころかマイナスだ、材料の3分1は食べ物じゃ無い何かに変わってしまった……

「やっやっぱり向こうでテレビ見てます」

「ああ、そ、そうだな」

やばいなかなりへこんでるなフォローしておくか?

「悪いな、いつも一人で作ってるからそのクセでじゃましちまったな」

「いえ、わたしこそ……実はあんまり料理したこと無いんです」

「まあ、なんだ気長に待っててくれ」

「はい」

それから30分ぐらいたっただろうかなんとか残った材料で二人分出来た。

「またせたな、完成だ」

テーブルの上には、鳥モモの香草焼きと和風と他、付けダレ3種類、ササミの中華風サラダ、イタリアン風鶏がらスープ、そしてパン。

……なんとかなるもんだ。

「うわ〜おいしそ〜、ではいただきます」

「俺も食うか、いただきます」

パクッ!

「はう〜!おいしすぎ〜、も〜二度とコンビニのお弁当食べれない〜」

気に入ってもらえたようだ、良かった、なんとかこれを足がかりにできるかも……

「そんなに気に入ったんだったらまた作りに来るよ、良いか?」

「も〜いくらでも来て下さい、大歓迎です」

良し!いい感じだ、それから楽しい食事を終えて一緒に後片付け……さすがにこれは大丈夫みたいだ。

片付けも終わり二人で少したわいもない話をしながらタイミングをはかっていると都合よくテレビがCMに変わった。

「なあ竹内、さっきの事なんだが……」

「さっき? なんですか?」

「これからも料理を作りに来るって」

「ああ、今度は何時かな♪」

「できれば一生お前の為だけに作りたいんだ……」

しまった!これじゃあプロポーズじゃないか告白前にしてどうする俺!

「あのそれってどうゆう意味ですか?」

マジボケか? わかってないみたいだチャンスだ!

「いやな、できたら俺とつ、付き合って欲しいんだ」

言い終わって竹内を見るとポケ〜っとしている、しまった!何かミスったかと考え込んでいると・・・

「私で良いんですか? 一度殺し合いをしたんですよ」

真剣な、(後にわかった事だが)けど嬉しそうな顔で。

「そんな事関係ない、お前が……竹内、いや理緒がいいんだ!」

しばらく反応なし、あきれているのかと思えば突如泣き出した。

「ちょっと待て、泣くほどイヤなのか?」

「バカ! 違いますよ、嬉しくて泣いてるんです、私もあなたが……好きです、ずっとずっと前から」

今度は俺がポケっとしている、いまいち今のセリフが消化しきれてない……

「それは付き合っても良いと言う事か?」

なんてあほな質問をするほどに……

「もちろん、私からもお願いします」

身体中に嬉しさが染み渡る……

「ありがと……これからよろしくな」

「はい、えへへ二人して泣いちゃいましたね」

言われて気が付いた・・・涙がこぼれている・・・ここ数年泣けなかったのに、とっくに枯れていたと思っていたのに。

「……理緒、一緒に生きていこうな」

「うん、歩。二人で幸せになろうね……」

お互いが自然と抱き合ってキスをする……長く長くただ唇を重ねるだけの優しいキス。

それでも二人は満たされていた、もとめていた瞳は自分を映している……

強くて、気高くてそして優しい瞳、たった一人の俺だけの人

代わりなんていない世界中でたった一人の……大好きな理緒。






おしまい

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