>春


暖かな日差しで心もポカポカと

横島の頭の上には子狐タマモがパイルダーオン…もとい満足気な表情で乗っかっている。

愛する人の匂いと体温に包まれて、背中には穏やかな春の日差し。

「……タダオー」

「ん、どうした?」

眠たげでおざなりな呼び声にもきっちり反応するあたり夫婦愛のようなものを感じる……もっとも(一部を除いた)周囲の面々に言わせれば『破局の元』だそうだが、それはさて置き。

「眠い……」

「あんなぁ……はぁ〜、まあいいや、そんなに眠けりゃ寝てていいぞ?」

さもありなん、ただでさえベストポジション(横島の頭上)にいて安心しきっているのにポカポカ陽気の援護攻撃、タマモでなくてもKOされるだろう。

「うぅぅ、なんかもったいない気がするぅ」

「眠い時は寝る、出来る時にやっとくのが一番だ」

微妙に合っているような間違っているような……

とにかく春の間中はこんな風景がそちらこちらで見られたそうな。





>夏


サンサンと降り注ぐ日差しが毛皮に心地よく、今日も今日とて横島にファイアーオン……でなくて横島の頭上を占領中。

「タダオォ、暑いぃ、アイス食べたいぃ、海行きたいぃ……」

暑さゆえか昼間っからグデッとしたタマモはわがまま全開。

暑いなら降りろとかいう意見は徹底的に無視のようだ。

「んなに暑けりゃ美神さんのトコにでも行くか? クーラー効いてて涼しいぞ?」

「……あそこはイヤ、犬がうるさいしミカミもすぐイライラしだすし」

「そうか?」

「そうよ」

「そうなのか」

「そうなの、だから海に行こ?」

「ダメ」

「なんでよ!」

さすがにイライラしてきたのかタマモの語気が荒くなってきた。

「昼間はダメ、なんで好き好んで惚れた女の肌を世の野郎共に見せてやらにゃならんのだ。ウザイいかもしれんが納得してくれ」

視線はソッポを向きつつ顔は真っ赤、残念な事に頭上のタマモからは表情は見えないが雰囲気は察したらしく……

「あうぅぅぅ……」

照れて唸るのが精一杯。

しかしながら二人共暑さが限界を突破したのか海にて文珠で『壁』を作りプライベートビーチを確保して涼んだそうな。(注:GS世界においてもおそらく犯罪です)





>秋


優しくなった日差しを毛皮に受けて、最早定位置となった頭上でのほほんとまったりタイム。

「涼しくなってきたわね」

「だな」

同意しながら横島はタマモを落とさないようにバランスを取りつつカップに入った紅茶を一口。

「ねぇ、私にも頂戴」

「ほいよ」

妙になれた動作でタマモも口元にカップを運ぶ。

ピチャピチャと鳴り響く音が止まって自分ももう一口と目の前にカップを下ろすと

「お前なぁ、これけっこう高い葉使ってるのに……」

「ふ〜ん、どうりでタダオが淹れたにしては美味しいと思った」

少し涙目なのは……まあいいだろう。





>冬


緩やかな日差しを一身に、穏やかな午後。

「ねぇ、いまさらだけど……なんで聞かないの?」

もはや帽子と化した頭上の子狐から抽象的な疑問の声。

「何をだ?」

「この事」

ポンポン、と前足で額を叩く。

「好きなんだろ? そこが、さ」

「ん、まあね。けど理由ぐらい聞くもんじゃないの?」

不安そうな声色に横島は苦笑しつつ

「良いじゃねぇか、好きなら。それとも、聞いてほしいんか?」

全部知ってるよ、心配しなくてもいいよ。

と、意味を込めて返した言葉は孤独だった心に染み渡り、潤った想いは身体を通して溢れ出る。

――ありがと――と――これからもよろしくね――の想いを込めて、ポロリと一滴。

狐の安住を求める一人旅は終わりを告げ

新たな旅が始まる

二人で幸せ求めて終わりの無い旅路へと。





Fin

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